インスピレーション
 真衣は呆れたように「今日はゆっくり休んで。明日また来るから」と言い残して帰って行った。
 
 結子はベッドの上の天井を見つめながら記憶を辿っていた。
 確かに、牛舎で牛に蹴られて意識を失った。
 その時、浅井の腕に抱きかかえられていた筈だった。
 気がつけばここにいた。真衣が浅井のことを忘れる筈がない。
 わからない。
(きっと、浅井さんが見舞いに来てくれるわ)

 結子は自分にそう言い聞かせて目を閉じるとそのまま眠ってしまった。
 
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