私と彼の一週間
「ん・・・・れ・・・ぃ・・ちゃん・・・?」



「・・・・・おはよ。颯人」




「ちゃんと眠れた・・・・?」




「・・・・うん」



そう言うと、颯人は軽く微笑んだ。

今日は、家でゆっくりしよう。
・・・・・昨日のことは忘れて。




「・・・颯人」




「ん・・?」




「今日は家でのんびりしようよ」




「うん」




颯人は笑顔で答えた。
ずっと、何をするわけでもなくただ、ボーっとするだけ。
颯人も私も何も話さない。

・・・・よく考えれば、私は颯人のこと。
全然知らない。
颯人から話してくれるわけじゃない。
自分が何歳で、どこから来たとか、どうして・・・・・家を出てきたのかとか。
私から聞かないから、言わないのかな・・・・?
20代前半って年齢も、私の見た目から見た第一印象。


「ねぇ、颯人」



「なぁにー?」



「・・・・やっぱりいいや」



・・・なんだか、颯人を知るのが怖い。
颯人の事をすべて知ってしまったら・・・颯人がいなくなるんじゃないかな
そんな気がして、聞けなかった。


「・・・鈴ちゃん」
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