私と彼の一週間
「え、な、何?」



「・・・・・携帯」



颯人に初めて手をあげた原因。
私の携帯は、電源が入ってない。
だけど、常に持ち歩いてる。

・・・・・私の携帯には秘密がある。




「・・・私の・・携帯は・・・」




「・・・うん。
あの時から、変だなって思ってた。
言って?もしかしたら、解決してあげられるかもしれないし」




・・・・私の携帯は、電源をつけるとひっきりなしに着信がくる。
携帯会社に持って行っても原因はわからなかった。
解約するにも、できなかった。

・・・この携帯は小学生の頃から使ってる。
壊れたら修理に出す。
それの繰り返し。
どうしてそこまでして、この携帯にこだわるのか。
・・・・彼への唯一の連絡手段だから。
初恋相手の“颯人”とは、ずっと仲がよかった。
お互いの家で遊んでいたり。
だから、彼の電話番号を知ってる私。

もう、かけることはない。いつまでも引きずってちゃダメ。
もう昔のことなんだから。

そう思って、何度消そうと思ったか。

・・・・・でも、いつも消せなかった。

消してしまうと、彼の存在も私の中で消えてしまう気がしたから。




「・・・・怖くて・・・・でもっ・・・誰にも相談できないしっ・・・」



颯人は静かに、私の頭を撫でて話を聞いていた。
親とは音信不通。
友人も電話帳が開けない状態だから、連絡もできない。
田舎から、都会で何も持たずに出てきた私に相談できる人なんていない。
会社でも、黙々と仕事をこなすだけ。
元々、人と関わることが苦手な私は人に話しかけたりできない。
人前で話したりすると、言葉が出なくなってしまったりする。



「・・・携帯、解約しよう?」



「っ!
やだっ・・・・・・!」


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