私と彼の一週間
第三夜

着信

「鈴ちゃん、電源入れてみて」




「・・・うん・・・・」




数年ぶりに、電源を入れる。
画面が明るくなり、見慣れていた待ち受け画面が表示される。




「・・・・普通・・・だね」




「・・・うん・・・」




「着信履歴開いてみて」




言われた通り、着信履歴を開く。




「・・・うわぁ・・・・」




颯人も思わず、口に出してしまうほどの『非通知』の文字が並んでいた。
履歴には、その文字が画面いっぱいに残っていた。
これが、携帯の秘密。




「・・・・この相手、しつこいな
電源切れてる時も、ずっとかけてきてる」





・・・・どうして私がこんな目に・・・・
これまで、何度そう思ってきただろう。
最初は怖かった。
誰かもわからない人からずっと電話がかかってきて。
自分で犯人を見つけようとした。
でも、もし見つけてしまった時。
もしかしたら、殺されるかもしれない・・・・。
そう考えると、何も出来なかった。
私が出来たのは、電源を切ることだけ。



「鈴ちゃん」



「何?」



「こっちからかけてみよう」



「・・・・・・」
< 43 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop