ホストーカー 【完】
コトンッ
最後の一口を勢い良く飲み干したコウさんは同じく勢い良くグラスをカウンターに置いた。
「じゃ、行こっか。」
立ち上がったコウさんは意外と身長が高くてその姿が一瞬麗羅と重なった。
「あ、はははい。」
何故か手を差し出され、私はおずおずと大きな手に自分の手を重ねる。
「ははっ、そんな緊張しないでよ。あ、荷物持つよ。」
「大丈夫です。自分で持ちますから…あっ」
「女の子に荷物持たせる奴は男じゃないよ。」
「あ、りがとうございます。」
コウさんはあの馬鹿と違って物凄く大人の男の人だった。
麗羅以外の男の人に優しくしてもらうのに慣れていない私は戸惑いを隠せなかった。