ホストーカー 【完】
パンパンッ
手を叩く音が、この馬鹿らしい論争に終わりを告げる。
「二人とも、落ち着いて。てか、俺のこと忘れてない?」
「「あっ…」」
完全にコウさんの存在を忘れてた私達の声が重なった。
「第一、麗さん、人の恋愛に口出しすぎですよ。」
コウさんが、麗羅を煽る。
これは…次の論争が始まる予感…。
コウさんの言葉を聞いた麗羅は勿論黙ってるはずがなく、何か考える様にして俯いていた顔を上げると、そこにはいつもの麗羅は居なかった。
正直、あのヘラヘラしてる麗羅と、同一人物なのかってくらい雰囲気が違くて…怖い。
「コウ、お前もしかして、俺に喧嘩売ってるのかな?」
貼り付けた様な笑顔を浮かべる。
「だったら、どうします?」
「ククッ…」
何が可笑しいのか知らないが、クスクスと笑い出す麗羅。
やっと、笑いが止まる。
「…コロス。」
麗羅の瞳は氷の様に冷たくて、
「美麗ちゃんは、絶対あーげない。」
とても、狂気的。