そこにある宇宙
少年の夢

扉は開かれる

「これでよし」

 薄暗い部屋でコンソールに向かっていた少年が、大きく息をつく。

 御雷疾風。

 天神学園高等部2年。

 学内外にその名を知られる、21世紀のエジソンを自称する発明バカである。

 今日も今日とて、授業そっちのけで、パワードスーツの新しい装備を試作中。

 なにせ特許をいくつも取るほどの天才、成績は文句のつけようがない。

 またサボリ魔ではあるが、最低限の日数は出席しているので進級も問題はない。

「これで次元の境界は超えられるはず…」

 少し前までは知る由もなかった、こことは違うもう一つの天神学園。

 平和なこちら側とは対極の、凄絶な世界。

 そこへ、行かなくてはならない理由ができた。

 疾風自身に責任があるわけではない。

 だが、事情を知った以上、我関せずではいられない。
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