ルビゴンの河の先





日中ながら襖の閉まった薄暗い部屋で、二人の視線がかち合う。
上目がちに俺を見つめる潤んだ瞳に、俺の理性はとっくに限界を迎えたことを知る。



「…駄、目だ。これ以上は」


「どうして」


「………優しくしてやれる自信がない。きっと滅茶苦茶にしてしまう」


そう言って顔を背けようとしたが、あかりの手が俺の頬を捉えた。



「半兵衛さんにならどうされたっていいのに」


「……………知らないぞ」





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