竜王様のお気に入り
「当然だ。」


ハクリュウはヤヨイに叱られないか心配で、チラチラとヤヨイの様子を盗み見ながら、小声で喋る。


ハクリュウはこれでも、出来る限り下手に出ているつもりであった。


ここに来る前に、人にものを頼むときは低姿勢でいなさいと、ヤヨイに釘を刺されていたからだ。


それが出来なければ、人間界では暮らせないんだと。


コウリュウは人の顔色を伺う兄を、初めて見た。


驚きは勿論だが、可笑しさが込み上げてくる。


あの、偉大なる冷酷な龍族の王が、人に気を遣いながら話しているのだ。


思えば、竜王になる前も、兄が誰かに遠慮している姿なんて、見た事がなかったかもしれない。

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