竜王様のお気に入り
「ここで俺から逃げたら、もっと居づらくなるぞ。」


コウリュウは上品な深紅のカップをテーブルに置いた。


イオリは微かに眉を動かし、コウリュウに視線を移す。


「お前には、俺の側に居てもらわないと困る。
他の者では、俺の身の回りの世話は無理だ。
・・・違うか?
唯一、俺とコハクを繋ぐお前を、手放したくはない。」


イオリには予想外の言葉だった。


先程からイオリの頭の中では、答えの出ない考えが、グルグルと回っていたからだ。


最悪、自分を否定されてお暇を出される・・・。


そんな事さえ覚悟していた。

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