竜王様のお気に入り
「それに。」


コウリュウは静かに続ける。


「俺は近々竜王に、ならなければいけないらしい。
お前に支えていてもらわないと、一人では不安だ。」


コウリュウの言葉を理解するまでに、イオリはしばらく時間を要した。


『コウリュウ様は次期竜王になられるご決心をされた。』


まだ、コウリュウ様のお側にいられる。


コウリュウ様は、私を必要として下さっている。


イオリは無意識に、目から溢れてくる涙に、まだ気付いていない。


コウリュウはゆっくりとソファーから立ち上がり、イオリの前にたたずむと、優雅な動作で頬を伝う雫を、そっと指で拭った。

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