竜王様のお気に入り
沈痛なかすれた声で聞くヤヨイに、

「60年前よ」

と、キサラギは教えてくれた。


キサラギは敢えてにこやかな笑顔でキッチンから出てくると、約束通り かすていら で、もてなしてくれた。

それまでずっと口を開かずに黙っていたハクリュウが、キサラギに向かってぼそりと言った。


「俺は間違ってないぞ。
ヤヨイを天界に連れて行った事、大正解だったと思ってるからな」


キサラギは端正な顔立ちで漆黒の瞳を揺らしている凛々しい青年に笑顔で応えた。
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