竜王様のお気に入り
「皆!静まれ!」


ヤヨイの言葉は完全に無視されて、ハクリュウは小うるさい広間を一喝した。


威厳に満ちたハクリュウの一言で、広間はシンと水を打ったように静かになる。


そして、竜王の次の言葉を、皆が待った。


「この者は、先ほど我に捧げられた、人間の生け贄である。」


「「「おぉ・・・!!!」」」


という歓声が、一斉に上がる。


「しかし。」


竜王は一旦そこで言葉を区切り、ひと呼吸置いてから、誰もが予期していなかった言葉を続けた。


「我はこの者を、皆に分け与える事はしない。」


「「「・・!?・・!?・・!?」」」


疑問の声が、広間のあちこちから聞こえてきた。

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