竜王様のお気に入り
「・・・あの時?」


きっと龍の姿で、上からこちらを凝視していた時のことだろう。


サツキの隣に、ヤヨイはいた。


「ハクリュウは何故、姉様ではなく私を?
そんなに美味しそうに見えたの?」


生け贄というからには、食べられる。


サツキには言えなかったが、やはりヤヨイも心のどこかで、そう思っていた。


手に取る様に、ヤヨイの言いたい事が伝わったハクリュウは、ヤヨイを少しからかってみる。


「・・・そうだな。
部屋に戻ったら、味わってみるか。」


ハクリュウは意地悪そうに笑って、魅惑的に目を細めた。

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