竜王様のお気に入り
偉大なる龍の長である竜王陛下に対して、『退け』などと言い放ったのは多分ヤヨイが初めてだろう。


「嫌だと言ったら?」


怒る素振りは全くない。


むしろ楽しむ様に、意地悪くハクリュウは答える。


「竜王様はワガママね。
でも、本当に重いのよ。
ハクリュウはとても体が大きいから・・・。」


恥ずかしさを隠すように、そっぽを向いてヤヨイは言った。


今まで竜王陛下に食されて、こんな態度をとった生け贄は存在しなかった。


皆、一様に酔いしれて余韻に浸り、また竜王を求め自分を捧げる。


それは、お決まりの光景だったのに。

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