アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
ずっと一緒に
窓の外から小さな騒めきが聞こえてくる。
カーテンの隙間から光が差し込む。
朝の気配。
目をあけると、すぐ目の前にナツの頭。
その向こうで三神さんが眠っている。
夢じゃなかったことにほっとして、そっと布団から出た。
少しカーテンを開けて外を見ると青空が広がっている。
初雪は積もるほど降らなかったようだ。
時計をみると9時を過ぎていて、二度見してしまった。
こんなに眠れたのは本当に久しぶりだ。
顔を洗って戻ると、ナツ以外は起きていてご飯を待っている。
3匹にご飯を食べさせながら、朝食の準備をして。
寝室を覗くと、あくびまじりでおはようと大好きな声。
今何時か聞かれて、そろそろ10時だと伝える。
「まじ?」
「めっちゃ寝たなぁ」
布団が気持ち良すぎるんだよと腕の中にいるナツを撫でている。
「コーヒー淹れるから起きてくださいね」
ナツにご飯は?と声をかけるとささっと布団から出てきて、仕方ないなぁと三神さんも起きる気配がした。
「やっぱり犬がいる生活っていいなあ」
三神さんは食後のコーヒーを飲みながら楽しそうにレオと遊んでいる。
(不思議…)
昨日の朝は友樹が居た場所に三神さんがいる。
でもずっと一緒に居るみたいに馴染んでいて。
(ああ、そっか)
ふと、私は気がついた。
三神さんの匂いをぷう太達は知ってるんだ。
私が大好きな愛する人の匂い。
だから昨日、あんなにすぐ三神さんに懐いたんだな。
お昼を過ぎてもこたつから動こうとしないので、流石にこれからどうするのか気になってきた。
すごくくつろいでるけど、今日も泊まるのかな?
お仕事は…?
実はあれから全く三神さんの出演作品をみていないので、どんな仕事をしているのか知らない。
「あ、もうこんな時間か」
そんなことを考えていると、三神さんはスマホを手にした。
「出かけるから準備してね」
「え、今からですか?」
うん、と頷いてスマホを操作している。
「で、でも…」
みんなを置いて行けるはずがない。
母を呼ぶにもすぐ来れるとは思えないし…
「大丈夫、心配ないよ」
そう言われ、とりあえず外出できる格好に着替えるとチャイムがなった。
着いた?と三神さんが応じている。