アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
今度はキスだけじゃなかった。
三神さんの自由になっている方の手が私の身体を這い回る。
息が苦しくて顔を背けても、耳や首筋に唇や舌が触れる。
痛いくらいに感じてしまってどうしようもない。
異常に敏感になってるのは、あのCDのせいだ。
現実の声と混ざり合って、どこまでがセリフなのかわからなくなってくる。
もう逃げるのは諦めたけど、やっぱりこんなのは嫌だ。
「三神さん」
再生を止めたくて名を呼んだ。
「手、離してください」
だめだよと一言。
「俺が好きにできないだろ?」
好きにって……。
もう散々してるのに。
「せめて、あれ止めてください」
あれ、がタブレットを指しているのは通じたようだったけど。
「俺の声で感じるんだろ?」
とびきり甘い囁きに背筋が震えた。
嫌なのに。
嫌なはずなのに。
なんでこんなに感じるの?
でも、再生が終わるまで止めてくれる気はないらしいし。
それに、身体の奥が熱くて苦しくて、もっと強い刺激を欲しがってる。
――もういいや。
私は考えるのを放棄した。