アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
最初から全然遠慮のないキス。
理性を奪うためだけの。
それがわかっているのに頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
こんなのだめ――。
抵抗しなきゃだめ……!
心の奥はまだ正気を保っているのに、身体が先に根をあげ始める。
タブレットは再生を続けていて、どんどん三神さんのセリフがエスカレートしてる。
聴いたらだめ。
何か考えなきゃ。
そこでやっと少しだけ唇が離れた。
苦しかった呼吸を整えていると三神さんが「いないよ」と言う。
「俺、独身だよ」
唇に触れるだけのキスの後、付け加えるように囁いた。
「だから大丈夫だよ」
髪から頬に、首から胸に三神さんの手が這っていく。
(三神さん、独身なんだ)
そう思ってしまった。
――だめだってば。
――私は違うでしょ
まだ残っている理性がそれを拒んでいたけど。
「でも、私は……っ」
言い終わるまで三神さんは待ってくれなかった。
また繰り返されるキスはさっきよりももっと深く私を追い込む。