アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
「俺の恋人になりなよ」
唐突過ぎて何を言われてるのかわからなかった。
またキスをされて、ゆっくり舌を絡ませた後、三神さんは繰り返す。
「俺のものになれって言ったんだよ」
私の思考は蕩け切っていて、CDと現実との境が無くなっていた。
気持ちいいんだろ? とか、欲しいって言えよとかそんなセリフが絶えず流れているからだ。
(こんなセリフあったっけ……?)
ぼんやりと考えながら目の前の三神さんを見つめると
「俺じゃ、嫌?」
そう聞かれた。
ずっと大好きだったのに。
三神さんが嫌なんてあり得ない。
私が首を振ると、三神さんは良かった、と微笑んで起き上がった。
やっと両手が自由になったけど力が入らない。
タブレットからはエンディングの音楽が流れ始めて、
(ああ、もう終わりかぁ)
と思っていると抱き起こされた。
三神さんがもう一度私の名を呼ぶ。
「おいで」
私は差し伸べられたその手を握る。
連れて行かれた先には、広くて真っ白なベッドが置かれていた。