アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】

拘束された両手はとっくに麻痺してどこにあるかわからない。
どこまでが自分で、どこからが三神さんの身体なのかもわからない。
どろどろに溶けて一つになってしまったような錯覚に陥る。 

「沙理」

三神さんが呼んでる。

ぼやけた視界のすぐそこに三神さんの顔がある。     
ああ、本当に美形だよなあ。
綺麗な人。

でも。

「お願いだから」

どうしてそんなに悲しそうな顔してるの?
私がさせちゃったのかな。

ごめんね。
そんな顔しないで。

「俺に心を開いて」

私は頷いたつもりだったけど、ちゃんと出来たかどうかわからない。
だって、もうどこにも力が入らないから。  

「愛してる」

遠のいていく意識の中で、本当の声を聞いたような気がした。
作り物じゃない、三神さんの声を。


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