アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】


到着ロビーに友樹が待っていてくれた。
どんな顔して何を言おうかと不安だったけど、顔を見たら駆け寄っていた。

「おかえり」

「ただいま」

「お前、なんか痩せてるじゃん、だいじょぶか?」

「そう?」 

荷物を持ってくれて、お土産の紙袋を覗いて嬉しそうにしてる。 
 
「ちゃんと食ってたの? なんか食って帰る?」

「大丈夫。早く帰りたいよ。ぷう太は?」

「全然平気だったよ」

見慣れた車に乗るとぷう太達の匂いがする。

「横になっとけよ」   

ありがと、と言ってシートを倒して一息つく。

(あ、買い物行かなきゃいけないかも)

「友樹、買い物しないと何もない?」  

「昨日、お母さんが行ってくれてたよ」

「そう」

ふいに額に手のひらが触れた。 

「まだ熱いじゃん。どうせ興奮して知恵熱出したんだろ」

私、何かイベントあるとその後熱出すもんね……。

「うん」

「楽しかった?」

「うん」

「本物の三神さん、ちゃんと見れた?」 

「うん、ばっちり見れたよ。かっこよかったよ。生声も素敵過ぎ」

そっかイベント行ったんだった。
友樹の横顔を見てるとぼんやりあの人の顔が浮かぶ。
ああ、私、ちょっと疲れてるみたい。

着くまで寝るねと目を閉じて、幻影を頭から追い出した。

 

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