アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】


友樹は私が戻るまで待っててくれた。  

「俺、明日は仕事だから。帰り夜遅くなるけど無理すんなよ」

「うん、わかった」

おやすみと私の頭をぽんぽん叩いて自分の部屋へ行く友樹を見送る。

布団を敷いてくれてたので、ぷう太達が潜り込んで私を待ってる。
今日はパソコンいいや。
疲れた。
もう寝ようと布団に入ろうとして、ふと携帯の事を思い出した。

すっかり忘れてた。
一回も見てないや。
飛行機に乗る前に電源切ったっきりだ。

バッグから出してもなかったのを取り出して、画面を見た。  
見慣れない番号からの着信・留守電ありの表示。
私が飛行機に乗ってる時間だった。
その番号は、あのカードに書かれていたのと同じ気がする。

心臓が飛び出しそうに脈打ってる。
震える手で再生を押して聴こえてきた声は。


『三神です。
 次に会う日まで毎日伝言残すかメールするからね。
 俺の事、忘れたらだめだよ?
 それじゃ、また明日ね』


――三神さん。


(もう一回……)

ああ、夢じゃなかったんだな。
それとも、まだ夢の中なのかな。

何回も再生して聴いている私の足に、ぷう太が体を擦り付けて早く寝ようと言ってる。

「ごめんごめん」

布団に潜り込んでみんなを抱いて。
携帯を握ったままで。

眠っているのか起きているのかよくわからない感覚になって。
でもやっぱり三神さんの声が聴こえてきて。

(あ、今日の三神さんのアニメ観れなかったなぁ)

明日の番組を頭の中でチェックしていると、やっと睡魔が現れて、私を眠りの世界へ連れて行ってくれた。



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