アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】


「あれから2ヶ月近く経つんだなぁ」

あと数日で4月になる。
私は携帯を握り締めていた。
今日は三神さんの誕生日。

直接お祝いを言えたらと思い、初めて自分から電話を掛けようとしていた。
それに5月の予定も決まったし。

でも滅茶苦茶緊張してる。
手も足も冷たくなってて、指が震えてボタンが押せない。

よく考えたら、私、こーいう電話が苦手なんだった。
今頃思い出して余計緊張してしまう。

こんな時間だから出れるはずないよね。
きっと留守電になるよね。
そしたらお祝い残せる。
5月の予定はメールでもいいしね。

えい、と発信ボタンを押した。
でも、2コールで三神さんの声。  

『沙理?』

『あ、あ、あの、こ、こんにちは』

本当に出ると思ってなかったので、動揺してしまった。

『掛けてくれたの初めてだね。俺の声が聴きたくなった?』

優しい声と口調で緊張が解ける。 

『はい、あの、三神さん、お誕生日おめでとうございます』

もうちょっと気の利いた事言えないのか私と呆れたけど、何とか伝えた。

三神さんは少しだけ黙っていたけど、すぐに『ありがとう』と言ってくれた。

『嬉しいよ、ありがとう、沙理』

もう一度そう言われて、胸が詰まる。

『何もプレゼント出来なくてごめんなさい』

『何言ってるの。電話してくれただけで嬉しいのに』

三神さんは、もしかしたら私が思ってる以上に私を想ってくれてるのかな。
やっとその事に気がついて、余計に苦しくなる。
早く会いたい。


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