ランデヴー
「うや、むや?」


「そう。俺はゆかりと一緒にいたくて……ずっとゆかりに甘えていたんだ」


「そんなことないよ、そんなこと……」


再び溢れ出す涙を、私は自らの手で拭う。


目の前が霞んで、陽介の顔が濡れたガラスを通したようにぼやけて見えた。



「ゆかりは俺なんかとはさっさと別れて、ゆかりのことを幸せにできるヤツと――」


「陽介!」


私はそれ以上を言って欲しくなくて、声を荒げて遮った。



そんなの、私は望んでない。


私の幸せは陽介の傍にいることなんだって、わかってくれていたんじゃないのか。


今更そんなこと言わないで欲しい。



「私、嫌だから……」


「ゆかり……」


「そんな理由じゃ、別れないから」


私は両手でぐいっと涙を拭うと、非常ドアを開けて中に入った。


幸い廊下には誰もいず、私はそのままトイレへ駆け込む。
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