ランデヴー





散々泣いて泣いて泣きはらして、鏡に映る自分の顔に溜息を吐く。


明らかに泣きましたって顔以外の何ものでもない。


トイレに入る数人の人が私の姿にギョッとした顔をしていたが、もはや誰に何を思われても構わないと思った。



もう帰りたい気持ちは山々だったが、今日は運悪く締め日だから帰る訳にはいかない。


私はトイレに設置してある個人用の引き出しからポーチを取り出すと、出来うる限りの化粧直しをしてトイレを後にした。



フロアに戻ると陽介は何事もなかったかのような顔で仕事をしていて、そんな姿にまた涙が込み上げそうになる。


鉛のようなものが胸につかえた気持ちのまま、デスクのメモスタンドに挟まれた伝言メモを見て溜息を落とした。



経理部の小原さん、業務部の小林さん、印刷会社の松田さん。


「折り返し電話を下さい」の欄にチェックが付いている。



とてもじゃないけど仕事をする気分になんてなるはずもなく、それでも今日というこの最悪な日を少しでも早く終わらせようと受話器に手を伸ばした、その時。



「坂下さん」


倉橋君が隣の席から私を呼び止めた。
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