ランデヴー
普段しないことをする、というのは非常に勇気が必要だ。


とは言え会社では電話できないし、帰る時間を見計らって電話をするしか……。



そんなことを延々と考えながら時計を見ると22時を回っていて、請求関係に関わっていない人達はとっくの昔に退社していた。


いつも忙しそうな陽介でさえ既に会社を後にしていて、鞄を持ってフロアを出て行く後ろ姿を寂しく見送ったものだ。



今このフロアには、他部署のまだ帰れない人が数名残っているくらいか。


遠くの方に、ぽつぽつと人影が見える。



隣を見ると倉橋君はデスクにやりかけの仕事を残したまま、席を外していた。


この部署で残っているのは私と倉橋君だけで、まぁそれは毎度のことと言える。



この会社はかなり自由で、きちんと仕事さえしていれば服装もワークスタイルも、文句を言われることはない。


現に、職場では常にラジオやCDから色んな音が垂れ流しになっていた。



倉橋君も、疲れて休憩にでも行ったんだろう。


そう思い、私も一息吐くことにした。



とりあえず、トイレに行こう。
そしてお茶でも飲もう。


そう思い立ち、廊下に出る。
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