ランデヴー





ドサリと椅子に座り込み、淹れてきたお茶を少しだけ飲み込んで深い溜息を吐く。



男女の告白シーンなんて日常でそうそう目にするものではないし、私だったら人には見られたくないものだ。


もちろんあんな場所でそんなことをする前田さんもどうかと思うが、不可抗力とは言え一部始終を目撃してしまい、多少なりとも心が痛んだ。



しかもフラれるシーンまでバッチリと目撃してしまうなんて……前田さん、ごめんなさい。


と、心の中でこっそりと謝ってみる。


そんなことをした所で、何にもならないことはわかっているが。



恐らく前田さんは、見られていたことに気付いていないだろう。


それだけが救いだと思った。



ふぅと一息吐きメールをチェックすると、待ちわびていた今日最後の請求データが届いていた。


良かった。
これを照合して経理の小原さんに送れば、私達の今日の仕事は終了だ。


小原さんも恐らくこのデータを、首を長くして待っていることだろう。
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