ランデヴー
「だい、じょうぶ……」


私はそう答えるのが精一杯だった。



開き切った目は瞬きすらできずに乾きを訴えているが、とにかく私は動揺を隠すのに必死だ。


結局お礼の言葉を発することなどできず、かと言って怒ることもできず、私はどうすればいいかわからないまま俯いた。



ドキドキと心臓を刻むリズムが速い。


きっと顔だって赤くなってる。


……恥ずかしい。



そう、とにかく恥ずかしいのに、倉橋君は一向に手を離してくれようとしない。


不審に思った私がグイッと力任せに手を引こうとすると、倉橋君が不意に口を開いた。



「何で……」


「え……?」


恐る恐る顔を上げると、さっきまで私の指を舐めていた倉橋君の唇が視界に入り、ドキッと胸が震える。



「どうして、あんなことしてるんですか?」


「あんな……こと?」


倉橋君の言っていることがさっぱりわからず、私は小さく首を傾げた。
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