ランデヴー
「ふ……っく……」


気付くと私はその場にしゃがみ込んでいた。


涙が後から後から溢れて止まらない。


口元を抑え嗚咽を堪えながら、私は何度も何度もその文字を読み直した。



『今日、行ってもいい?』



以前と全く変わらない様子の言葉に、「ふふふ」と笑いすら込み上げる。


何度拭っても止まらない涙を流しながら時に笑みを浮かべ、周囲から好奇の目を向けられながら電車に乗って家路を急いだ。


今の私は、誰に見られても何を言われても、構わなかった。
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