ランデヴー
ところが――。



当日の私はというと……全くと言っていい程に楽しめなかった。


誰かに会ったらどうしよう……と、必要以上にビクビクしてしまって。



陽介は堂々としたもので、「見られたら見られたで、用事があったって言えばいい」なんて、言っていたっけ。


私はそれでも怖くて、それから2度と冗談でもデートがしたいなんて言えなくなった。



2人で出掛けたい気持ちはもちろん、今だってある。


でもバレるかもしれないという恐怖で楽しめないということが骨身に染みてわかっていたので、諦めていた。


陽介はその時のことを言っているのだ。



「あの時はゆかりも楽しめなかったかもしれないけど、車だったらそんな心配ないだろ?」


「……陽介」


あの日のやり直しをしてくれようとする陽介に、やはり不安が募る。



本当に、それだけ……?
それだけの理由……?



別れの準備……そのことが頭に引っかかり、喉に何かが詰まったような感覚に上手く話すことができなくて。
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