ランデヴー
「まぁ……最悪諦めざるを得なくても、だなぁ」


「なんだ、結局諦めるんじゃないですか……」


「違う、最悪だ、最悪。例えどんなに悩んだところで、最終的に解決してくれるのは時間以外の何ものでもないんだよ」


「時間……」


「そ。時間が経てば、あの頃悩んでたなぁ……って懐かしく思い出せるくらいには踏ん切りがついてるさ」


そうなのかな……。


今こんなにも苦しくて辛い思いをしているのに、数年後には懐かしく思い返せるようになっているのかな。



それはそれで、何だか少し寂しい気もした。


自分の今の悩みが……陽介との間に起こった出来事が、ただの思い出に変わる日。


何だか今の自分が消えてなくなってしまうような、そんな気がした。



「人間だからな、簡単には諦めきれないことだってあるだろ。そんな思い詰めないで、上手く消化できるように、頑張れ」


トントン、と軽く背中を叩かれた。


それが佐原さんなりの励ましだと、わかる。



少しだけ胸が軽くなった気がして、私はふぅ……と静かに息を吐き出す。
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