ランデヴー
その人は奥にある窓際の席に座り、ぼんやりと外を眺めていた。
何というか……物憂げな表情が妙に美しく見えた。
華美ではない化粧を施し、薄い色のリップを乗せている。
服装だって派手ではない、どちらかと言えば地味な部類に入るだろう。
そして髪型は……私と同じストレートのロングだった。
本当に普通の人なのだが……そこはかとなく漂う気だるげな雰囲気が、何故か色気を感じさせる。
この人が――陽介の奥さん……。
私はしばらく彼女の姿を見つめたまま、近寄ることができずにいた。
実際に奥さんの存在を認識するというこの状況は、私の中にとても不思議な感覚を呼び起こす。
決してその存在を信じていなかった訳ではない。
だが、ろくに話を聞いたこともなければ意識的に遠ざけようとしてきた人のことだ。