ランデヴー
胸がキリキリと痛み、目頭が熱くなる。


私は高ぶる気持ちをどうしても抑えきれなくなって、言ったのだ。



「香川さんのことが……好きです。どうしようもないんです……」


俯き震える私の頬を、一筋の涙が流れた。



あの時の私は、想いを受け止めてもらえなくても構わないと思っていた。


陽介へのこの気持ちが報われないことは最初からわかっていたことだから。



それでも、気持ちを伝えたかった。


ただそれだけだったのに……。



陽介は不意に足を止めると、私の肩をギュッと抱き寄せた。


驚いた私がその顔を見上げると、切なく揺れる眼差しとぶつかる。



一瞬の後に陽介の顔が近付いてきたと思ったら、私達は傘に隠れるようにしてキスをしていた。


突然のことに驚いて目を見開く私に、陽介は言った。



「俺も……どうしようもない」


と……。
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