ランデヴー
そしてスッと細めた瞳に優しい光を滲ませ小さく笑うと、再び私に口づけた。


まるで甘い夢のようなその出来事に、私はもう死んでもいいと思う程の喜びを感じた。



お互いの止まらない情熱に、その日は人目を忍んでホテルへ行った。


外であんなに大胆なことをしたのは、後にも先にもその日だけだ。



あの日の陽介の温もりを思い返すと、涙が後から後から止め処なく溢れてくる。



陽介に会いたい……。


そう強く思えば思う程、身を切るような絶望感に包まれた。



もはや座る気力さえもなく、私はその場にコロンと横たわる。


暗い部屋がぼんやりと目に映り、開け放たれたままのカーテンの向こうから外の喧噪の光がゆらゆらと漏れていた。



その光景を静かにただ見つめていると、再びインターホンから来客を告げる音が鳴り響いた。


何度も鳴るそれを鬱陶しく感じ、静かに目を閉じる。



でも……と、私は再びパチッと目を開けた。


ひょっとしたらと考え直し、ふらりと体を起こす。
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