ランデヴー
もしかしたら……陽介なのではないかと。


今日会社を休んだ私を心配して来てくれたのではないかと。


この期に及んで、そんな淡い期待が急激に胸の中に広がっていく。



きっと陽介だという気持ちと、そんなはずはないという2つの気持ち。


鼓動が早鐘のようにこの胸を打ち付ける。



私は弾かれたようにその場から身を起こすと、もつれる足を何とか動かしてインターホンへと飛び付いた。


だが、そこには真っ暗な液晶があるだけで、誰の姿も映してない。



もう、帰ってしまったのだろうか……。


私はよろよろと玄関に向かうと、手近なサンダルを引っかけて扉を開けた。



外に出るとぐらりと世界が歪み、その場に倒れ込みそうになる。


だが私は陽介に会いたい一心で、壁を支えにしながら今にも脱げそうなサンダルでエレベーターへ向かった。
< 343 / 447 >

この作品をシェア

pagetop