ランデヴー
「と言うか……」


倉橋君は私の言うことを完全に無視すると、突然私の額にぺたりと手を乗せた。


ひんやりとした感触に、思わずキュッと目を閉じる。



「熱、ありますよ、多分。体熱いですし」


「……え?」


「本当に……坂下さんて馬鹿ですよね。体調悪いのも気付かないでお酒なんて飲んで。馬鹿過ぎて、ほんとイラつくんですけど」


鋭い目で睨まれ、私は何も言えなくなってしまった。



熱があると言われて、妙に納得した。


思えばずっと頭が重くぼーっとしていたし、道理で体がだるいはずだ。



「昨日……何があったんですか?」


倉橋君の質問に答える気は、なかった。


泣き腫らした目を見られたくなくて、めいっぱい顔を背ける。



ギュッと唇を結び頑なな態度を取る私の耳に、倉橋君のこれみよがしな溜息が聞こえて来た。
< 351 / 447 >

この作品をシェア

pagetop