ランデヴー
やっと倉橋君に開放された私は、急にどっとやってきた疲労に溜息を吐くと、のろのろとクローゼットを開けて新しい部屋着を取り出した。


だがその瞬間、突然の胃のむかつきに襲われて口元を抑える。



「気持ちわる……」


再び吐き気を催した私は、フラフラとトイレへ向かった。



胃の中にたいした物など入ってないのに、胃液だけを吐き続けるのはかなり辛い。


その場でゲホゲホと咳をしながらしばらく留まっていると、扉越しに「大丈夫ですか?」という倉橋君の心配そうな声が聞こえてきた。


それに答えることなくトイレの水を流して外に出ると、壁に寄りかかってじっとこちらを見ている倉橋君と視線がぶつかる。



「熱があるのにお酒なんか飲んで、具合が悪くならない方がおかしいです。どうせろくに食事もしてないんでしょう?」


非難めいた口調でそう言われ、私は目を伏せて洗面所へと向かった。



ちゃんと電気を点けて久しぶりに鏡に映った自分の姿を見ると、あまりの酷さに目を逸らしたくなる。


確かにこんな顔を晒していたら、100年の恋だって覚めるだろう。
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