ランデヴー
でも、やはり何か違うと思ってしまう。


それは以前からずっと変わることはなく、これから先も変わることはないかもしれない。



そっと倉橋君の顔を盗み見る。


それに気付いた彼は憂いを帯びた瞳で小さく微笑み、私に手を差し出した。



「もう寝て下さい。坂下さんが寝たら、俺も帰りますから」


その手を拒否するのが躊躇われ、恐る恐る腕を伸ばしてそっと触れると、倉橋君は強い力で私を立たせてベッドまで連れて行ってくれた。


もぞもぞ布団を被って体温計を脇に挟むと、すぐに眠りに落ちそうになる。



それは――ほんの一瞬の間だったと思う。


熱を測り終わるまでの僅かな間。



急な眠りの谷間に落ちた私の髪を、優しく撫でる手の温もりを感じた。


慈しむように、大事そうに、頬を滑らせる指の動きに、思わず身じろぎする。


何だかくすぐったいような、やけに気持ちいいような、不思議な感覚。



優しくて……ホッと安心するような……。
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