ランデヴー
「――さん……坂下さん。体温計鳴ったんで、出して下さい」


不意に倉橋君の声が聞こえてきて、夢見心地でそれを取り出すと、のろのろと手渡した。



「んー、熱は……そんなに高くないみたいですね。薬は今はやめておきましょう。食事してないしお酒飲んでるし……全く、何でそんな無茶するかな」


倉橋君の小言を左から右にに流しつつ、私は再び眠りの狭間へと向かう。


だんだん彼の声が遠くなっていく……。



「えーっと、そうだ。鍵どうしましょう?」


「…………鍵……?」


「はい。俺、帰りますし……開けっ放しで出る訳にもいかないですから」


「……は、そこの……引き出しに……合、鍵……」


私はそこまで言うと力尽き、深い闇の中へと落ちていった。



久しぶりの睡眠は思考することを忘れる程に深く、夢さえ見ることないままに朝まで続いた。
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