ランデヴー
途端に酷い脱力感が全身を襲い、私は小さく身震いした。



「……はい」


受話器を上げて私がそう返事をした相手は、倉橋君だ。


今日も心配して来てくれたのだろうが、丁重にお断りして帰ってもらおう。


そう考えていたのに。



倉橋君は何故か「入りますね」と、それだけ言って勝手に自動ドアを解除すると、中へと吸い込まれて行くように消えた。


私は受話器を上げたまま、呆然と誰もいなくなったモニターの向こうを見つめる。



え……鍵、渡したんだっけ……?


一生懸命昨日の記憶をガサゴソと漁ってみるが、全くと言っていい程に思い出せなかった。



ふと朝から何度も感じる吐き気に襲われ、私はその場にしゃがみ込むと、はぁ……と喘ぐように息を吐く。



苦しい……。


熱が高いが故の吐き気だと思うと、気が滅入る。


こんなに熱を出したのは何年ぶりだろうか。
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