ランデヴー
「倉橋君、何でうちの鍵持ってるの?」


開口一番にそう尋ねると、倉橋君は一瞬目を見開いた後に小さく首を傾げた。



「昨日、坂下さんが言ったんじゃないですか。合鍵が引き出しに入ってるって。……忘れたんですか?」


そう言われ再び記憶を探るが、全く覚えがなかった。


一瞬倉橋君の作り話かと思ったが、私が言わなければ鍵の場所もわかるはずがないので、事実なのだろう。



「そっか……。でも私もう元気になったから、大丈夫だよ。色々有り難う」


本当は今にも重い息を吐き出したい程に気怠かったが、無理矢理笑顔を作る。



すると、倉橋君の目が不意に険しくなった。


不愉快そうに歪められるその顔を見て、「あぁ、騙せてないな」と瞬時に悟る。



「顔色、めちゃくちゃ悪いですよ。それに……泣いてました? 隠してるつもりかもしれませんけど、何1つ隠せてないですから」


そう言われ私は返す言葉もなく、そっと頬に手を当てた。


確かに……顔色も泣き顔も、そう簡単に隠せるものではない。
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