ランデヴー
「倉橋君って世話焼きだよね」


「坂下さんの世話を焼きたいんです」


その答えに、私は一瞬言葉に詰まる。



どうにもならない想いを抱えているという点に於いて、私達はとても良く似ている。


だから私は、倉橋君を強く突き放せないのかもしれない。



「会社、どう? 何かトラブルとか起きてない?」


私は熱を測りながら倉橋君の言葉をスルーすると、ずっと聞きたいと思っていたことを尋ねた。



恐らく何も連絡がなかったということは大丈夫ということなのだろうと思いつつも、やはり気になる。


特に不安だった案件については何かトラブルが起きていないかと、つい嫌な想像をしてしまうのだ。



「大丈夫ですよ。会社のことは気にしないで、今はゆっくり休んで下さい」


「……有り難う」


優しく言われ、ホッとすると同時に安心した。



私がいなくても大丈夫なくらいに、倉橋君は立派に成長している。


直接仕事を教えている立場としては頼もしく思えるし、嬉しくもある。
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