ランデヴー
「や……う……も、ほっといて……っ」


私は言葉にならない声で精一杯の拒絶を表したつもりだったのに。



一瞬の後、私の体は温もりに包まれていた。


顔を上げなくてもわかる。


私は倉橋君に抱き締められていた。



「は、離してよ……っ。ほっといて――」


倉橋君はもがき逃げようとする私を抱き締める腕に、尚もギュッと強い力を込める。



「離しません。1人で寂しく泣くよりも、誰かが傍にいた方が……きっと、辛くないですから」


そうゆっくりと落ち着いた声音で言われ、不意に私の体から少しずつ力が抜けていく。


そうすると倉橋君の温もりがダイレクトに伝わってきて、何だか大きな力に守られているような気持ちになった。



私は大きく息を吸い込みゆっくりと吐き出すと、その温かい胸にそっと寄りかかった。


そんな私の背中を、倉橋君はトントンと優しくあやすように叩く。
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