ランデヴー
「大丈夫ですか?」


心配そうにそう声をかけられ、思わず「大丈夫じゃない」と答えそうになる。


だが、私は慌ててふるふると首を振った。



「倉橋君、私まだかかりそうだから。もう帰っていいよ?」


彼が私を待っているのは、何となく気付いていた。


恐らく、こんな調子の私が気になるのだと思う。



「いえ、手伝います。それ、まだですよね? 貸して下さい」


倉橋君は困ったような瞳で物憂げに微笑むと、私のデスクに乱雑に置かれた書類に手を伸ばした。



「あ、ありがと……」


すぐに仕事に取りかかる倉橋君をぼんやりと見つめ、呟くようにお礼を言う。



倉橋君にこうして手伝ってもらうなんて、何だか情けない気持ちになる。


私はなんとか自らに気合いを入れ、仕事に集中するよう努めた。



そうして抱えていた仕事を倉橋君に手伝ってもらうことで全て終わらせ、私達は2人で会社を後にした。
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