ランデヴー
外に出ると、ポツポツと小さな雨が降っていた。



「え! 今日雨降るなんて言ってましたっけ?」


そう言って明らかに動揺する倉橋君に、「傘ないの?」と尋ねる。



「持って来てないです……」


「私あるから、入れてあげる」


しょんぼりとした倉橋君が何だかおかしくて小さく笑いながら、鞄に入っている折りたたみ傘を取り出して見せる。



「あ……すみません」


バサッと広げた傘に倉橋君を入れると、彼は申し訳なさそうにお礼を言った。


そして私の手からすっとそれを取ると、逆に私に差し掛けた。



「持ちます。行きましょう」


当然のようにそう言って促す倉橋君に少し戸惑いながらも、私は「うん……」と小さく頷いて彼の隣に肩を並べた。



こうして相合い傘をすると思い出すのは、陽介のことだった。


あの雨の日のことを、私は決して忘れることはないだろう。


再び私の心を、耐え難い程の寂しさが襲う。
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