ランデヴー
払うという倉橋君を制して会計を済ませ、家までの道を2人で歩く。


どうやら雨は止んだらしく、水溜まりが街灯の光を反射させてキラキラと光る。



そんな中、私は何だか不思議な気分だった。


陽介とはもちろん2人並んで買い物なんてしたことがなかったし、付き合うようになってからこうして外を歩いたことも数える程しかない。


ポツポツと光を放つ街灯に照らされて伸びる2つの影は、幸せそうな恋人同士のように見えて、それが何だか悲しくもある。



本当に恋人同士になったら……倉橋君の手を取ることができたなら。


幸せ、なのかもしれない。


誰かに傍にいて欲しい――そんな弱い気持ちが、じわじわと私の心を浸食する。



やるせない気持ちを抱えつつ他愛のない話をしながら歩き、私の住むマンションが見えてきた頃だった。


ふと視界に入った違和感に気付き、私はピタリと足を止めた。



「坂下さん……?」


怪訝な顔をした倉橋君は私の顔を覗き込み、その視線の先へと顔を向けた。
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