ランデヴー
暗がりでも遠くからでも、私はその姿を見付けられる。


今でも大好きで、恋い焦がれている人だから。



「陽介……」


私はポツリと呟いた。


いるはずのない人の名前を。



でも、その人は紛れもなく陽介その人で。


私に気付くと、ゆっくりとこちらに足を向けた。


だが隣で同じく陽介を見ている倉橋君に気付き、驚いたように目を見開く。



「ち、違うの……! あの、私が風邪ひいた時看病してくれて……その、お礼に……」


気付くと私は、慌ててそう口走っていた。



言いながら、何て馬鹿なんだろうと心底呆れる。


今更そんな言い訳、何の意味もない。


必要ない。
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