ランデヴー
「ちゃんと食べるように見張ってるから大丈夫だって、言っておきましたから」


しれっとした顔でそんな風に言われると、何だか恥ずかしくなる。


まるで出来の悪い子供を心配する親みたいだ。



「別に……見張られなくても、ちゃんと食べてるし……」


「そうですね。最近食欲戻ってるみたいで良かったです」


少しホッとしたように目を細めて笑う倉橋君に、くすぐったい気持ちになる。



確かに私は食欲が元に戻ってきて、普通に食事ができるようになっていた。


一時期食べられなかった頃のことを考えると、美味しくご飯を食べられることは何て幸せなことなんだろう、と思う。



陽介ときっぱり決別することで、私の中で何かが吹っ切れたのか、家に1人でいることを寂しいと思うことも少なくなった。


先週末は短大時代の友人と過ごしたし、会社帰りは同期と食事に行くことも増えた。



こういう生活を送るようになって、改めて私の毎日が陽介一色だったということを思い知らされる。


彼との関係にのめり込み、壁を作り、閉じこもっていた。


でもその時は、そんな自分に気付けなかった。
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