ランデヴー
マンションで陽介に待ち伏せされ、私は陽介を選んだ。


あれから会社で会った倉橋君に、私は何度も謝った。


だが倉橋君は、「気にしてないです」といつも通りの笑顔で言ってくれた。



でも、そんなはずがない。


気にしてないはずがないのだ。



あんな風に倉橋君を傷付けてしまって、私はもう罪悪感でいっぱいだった。


それは私の弱い心が招いたことでもあるからだ。


この先も本当の意味で私が陽介を忘れる日が来ない限り、同じように倉橋君を傷付けてしまうかもしれない。


あの日彼を傷付けたことが、私の心にブレーキをかける。



それはただ彼を傷付けることで自分も傷付きたくないからと、そうやって自分を守っているだけなのかもしれない。


逃げているだけなのかもしれない。



でも……今の私には、その渦の中に飛び込む勇気がなかった。


傷付け傷付けられる……今はまだそういうことからは離れた場所にいたかった。
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