ランデヴー
「わかってます。まだ……忘れられないんですよね?」


そう言われ、私はハッと目を見開く。



やっぱり……倉橋君は気付いてる。


口に出せない、でも私の内に秘めた本当の気持ちに。


そう――他の人に気持ちが残ったまま、倉橋君の傍にはいられないのだ。



私の心には、まだ確かに陽介の存在がある。


それは今のこの環境では、そう容易には変えられない。


どんなに吹っ切ったと思いたくても、毎日会えば心は動くし、私はまだまだ何事もなかった頃の気持ちには戻れずにいた。



しばらくはこの気持ちと上手に付き合っていくしかない。


本当にそれ以外に為す術がないとしか、言えない。



私は小さく頷いて俯いた。



「本当は、あの日……坂下さんが香川さんを選んだあの時から、何となくそう言われる気がしてたんです」


そう言われ、ズキンと胸が痛んだ。


私も……あの日のあの出来事が、今の結論に繋がっていると思っていたから。
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